2022年8月24日水曜日

【数日使用レビュー】RME Babyface ProからRME Fireface UCXに変えてみて (+無線環境を構築した話)

 Antelope Discrete 4にするかUniversal Audio Apollo TwinにするかRME Babyface Pro(またはUCX)にするか悩んでいた時が懐かしいですね
3年ちょい前に買ってほぼ毎日頑張ってもらったBabyface Proに旅立ってもらいました
K&Mのスタンドと使ってました
買った当初はDAWボイチェンがメインだったので、TotalMix FXにエキスパンダーもコンプレッサーも要らなかったし、もし必要ならBabyface Proへ入力前にチャンネルストリップとか使ってやればいいと思ってました。
最終候補としてはBabyface ProとFireface UCXになったのですが、見た目がダサいという理由でUCXは見送りとなりその後...

今はどうでしょうか?DAW起動してCPUリソース喰われるのも嫌だし、そもそも起動するのが面倒だし...何の苦労もなくバ美声ポチッで起動してVRCやりたい感じです。
某海遊性大型魚みたいな名前の方の影響もあり(?)より広くバ美肉勢に認知されることとなったBabyface Proをバ美声で使う場合に気になる点を羅列していきます。


①TotalMix FXにノイズゲート(エキスパンダー)がない
これはもう致命的です。
どれぐらい致命的かというと、今日は暑いからクーラーの風を強めに...こんな事するともちろんファンノイズみたいなのが入ります。声を出してない時も入るので、VRCやってる時ももちろんずっと聞こえます。
バ美声の適応型ノイズ除去フィルタを使えよって思った方もいるかもしれません。
ノイズゲート(エキスパンダー)があれば無言時このようにならない上に、サンプルを長時間取得してもシュルシュルシュルって音は残りがちです。
 
自分はそれをなんとかするためにiSP Decimator IIとかRocktron Hush Proとか買いました。
iSP Decimator II(ピッカピカでカッコイイ)
どちらも優秀なノイズリダクション機材ではありましたが、やはりどちらも声質が劣化気味になります。これはiZotopeのリダクション系VST使ってもなる事なので、やはり無言時はノイズゲートやエキスパンダーで原音にほぼ影響がない形で音声をカットするのがいいと考えました。
このようなハードウェアをオーディオインターフェース前に追加する場合であれば、DBX 286シリーズを検討してみてもいいと思います。
マイクプリアンプ/エキスパンダー/コンプレッサー/ディエッサー/エンハンサーと1ch入出力ですが、必要な機能が搭載されてるため選択肢として有効です。
 
②TotalMix FXにコンプレッサー(レベラー)がない
これは音声入力時に大音量を入れないよう気を付ければいいレベルなので致命的ではないですが出力時に気になるケースがあります。
例えばYouTubeを見ているとします...自分は特に心霊系の動画を見る事が多いのですが、普段は音が小さいのにいきなり大きな音が流れたりとか当たり前のようにあります。
これをスピーカーで再現すると絶対に壁ドンが来ます。なので落ち着いて動画を見ることも出来なかったので年中ヘッドホン使ってました...
後々DBX 266XSという2ch入出力のコンプレッサーを使っていましたが、これも①のケースと同様にハードウェアを追加することが可能であれば検討してみてもいいと思います。 

※DBX 286とDBX 266を新品で買った場合は追加資金が4万円弱かかるので、エキスパンダーとコンプ目当てなら最初からUCXシリーズでよくない(?)となるのですが、今は中古UCX/新品UCX IIともに高騰してるので悩ましいところですね
(5年以上使うつもりなら安い年間サブスク代金だと思える声)

③バ美声→DAW→ループバックの順序で使う
無言時に音が鳴ってるのが気になるのであれば、バ美声の音声をDAWに入れてノイズゲートかければいいじゃないともなりました。
恐らくBabyfaceシリーズはこの使い方がいいんじゃないかと最終的になりましたが、DAWに割かれるCPUリソースも起動時のひと手間もかかります...VRCやる時に元気だったらいいんですけど、当時は疲労困憊してログインしてることが多かったのでそれすらもしたくなかったのを覚えてます。
ただし、バ美声からDAWに入れた音をモニタリングに回す場合は少なからず遅延が付与されます。自分にはこれが結構きつかったです。 (遅延を考慮するならBabyface Proに入力前にDBX 286シリーズを使うしかないでしょう。1ch入力のみですが...)
また、Babyface Proは本体の4in4outに別途ADAT対応機器を接続し+8in8out構成になってるので、本体のみでどうこうしようとするとすぐに入出力が不足しがちです。

④Equalizer APOを導入してノイズゲートをかける
サードパーティ製の仮想ミキサーが嫌でRME製品を導入したのでもはやアベコベですが、検索してみるとEqualizer APOを跨ぐ方法で利用されてる方もいるようです。(結果的に自分の環境では動作させることが出来ませんでした)
ただ、動作出来たとしてもマイク→TotalMix→Equalizer APO→Windowsカーネルドライバーの順番で流れるようで遅延が多少増えるようです...
こちらの方法を確立出来てる方がいればご教授願いたい限りなのでお願いいたします。

今時の2万円台のオーディオインターフェースってノイズゲートとか載ってたりしますよね?
でも、Babyfaceシリーズにはありません。せっかく高いお金を出して買ったのに、余計に機材を繋いであれこれするか、結局DAW使ってあれこれするしかないとなって、使えば使うほどあの機材ならこんなことしなくていいのに...という不満が少しずつ溜まっていました。

そんな折、Babyface Proを購入した当時に低価格帯でルーティングとループバックの自由度がそれなりにある製品が欲しいと言ってたら出てたので買いました。
Presonus Revelator io 24

結果的にFireface UCXとほぼ同じタイミングでの購入になってしまい、こちらが先に届いて試す結果になったのですが、こちらはインプットのみですがノイズゲート(エキスパンダー)/EQ/ローカット/コンプレッサー/リミッターがコンソールミキサー画面で適用できます。
久々にノイズゲート使ったけどこんなに感動したのはないんじゃないかってくらいでした。
無言時に何も音がしない...当たり前だけど当たり前じゃない機材だってあるんですよね。 

Babyface Proに入れる前にノイズゲートついてるオーディオインターフェースでも繋いで処理してからやればいいんじゃないかと考えた事もありますが、ハードウェアって繋ぐほど音痩せしていくんですよね...勿体ないと思ってしまいます。

そんなこんなでなかなか届かなくて半ギレ状態でしたが、大体今は設置してから数日ほど使ってみてます。
もちろんですが、先ほど羅列した①/②/③すべてをTotalMix FXで解決できるんですよね。
RME Fireface UCX(交換ノブ届くまでRoland製品のゴム足つけます)
 当時はマイクプリアンプやイコライザーやらエキサイターやらコンプレッサーやらの実機を周りに飾ってたので気にならなかったんですが、引っ越しの時に思ったけどめちゃくちゃスペース取ってたんだなって教えられたんですよね。
今の自分はせっかく高いお金出すんだから、対症療法的にああすればこれもできるをやるのは嫌だなと考えてます。元々できるけどハードウェア足しても出来るよなら納得できます。
Expander/Complessor/Levelerあり

長々と書いてますが世のボイチェンおじさんへ
「BabyfaceシリーズじゃなくてFireface UCXシリーズを買ってください」
DBX 286シリーズだったりハードウェア足してあれこれするのもいいけど、周りにものが増えるといやだって人は特に。

ここまで機能的な面しか触れてなくて音質はどう変わったの?と思われた方もいるかも知れません。
基本的にRMEの分離感高めの解像度の高い音質で、ヘッドルームが狭くなったなとか定位がブレるとかはほぼ感じません。また、Babyface Proに比べてFireface UCXの方が低音が聞き取りやすいです。そして、中高音に関してはBabyface Proの方が立ち上がりすっきりしてる印象になります。
音質の感想なんて正直当てにならないので、実際の店舗に行って聞いてみるのが一番です。
旧世代機と言っても当時のハイエンド製品なのでめちゃくちゃ悪いってわけでもなく、初見の感想はBabyface Proとほぼ変わらんなでした。
 
 
こういう製品を購入する際、どうしても最新世代のSteadyClock FS搭載じゃないと嫌だとか現行最新Fireface UCX IIじゃないと嫌だとか中古は絶対に嫌だとか仰る方もいると思います(RME製品の無償保証は1年)
ただ、自分はRolandのUA-101/UA-4FX/FA-66/Quad-Capture、RMEのBabyface Proと使ってきましたが壊したり壊れた機材がひとつもないです(電子機器なのでもちろん寿命はあります)
 
中古で買えとは言わないけど、中古でしか買えない機材もあるので飲める方は中古の初代UCX(または高騰してるUCX II)いいんじゃないの?という記事でした(個人売買が嫌なら楽器店経由で買うとか)
 
そして、RME製品が高騰しているのもあり9万弱で買ったBabyface Proを8万ちょいで売ったので、手元からは2万円しか出してないです(中古ノブ折れUCXは10万でした→交換部品あり)
たった2万円払うだけで数年あれこれしてたのが解決するんだったら最初からそうしておけばよかった...解決方法がわかっているのに踏みとどまっていた自分は何をしてたんだろうという反省でした。

VR x ボイチェンに関するクソ長い記事も投稿してるので、VRはやらないけどボイチェン興味あるとかやってみてる方いましたら読んでいただけると幸いです。
そして、ボイチェン何もわからないおじさんなのでコメントやTwitterで何かツッコミあればして頂けると嬉しいです。

将来的なオーディオインターフェース道のゴールとして、UCXを導入することもBabyface Pro購入後1年くらいが経過してから想定してましたが、もっと早めにやってもよかったと思ってます。
見た目ダサいとか言ってた自分を1万2千回殴っておきます。そして今度オーディオインターフェースを買うことがあるとすれば、UCXが壊れた時にUCX IIにしようかなと思います。
RME以外にも同等なルーティング機能を搭載した製品が出回ることを願うばかりです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


(2022.08.29)追記
Fireface UCXのCoaxial出力からSennheiserのBluetoothトランスミッター(送信機)にデジタル接続し、同社IE 100 Pro(+BT Connector)で使ってみました。
CoaxialからS/PDIFへの変換はAmazonに売ってた謎メーカー製品を使用しています。
Sennheiser IE 100 Pro (イヤーチップはSpinFit CP800)
KZ ZEXとの比較ですが、音質はかなりフラットでイコライザを弄ることなく聞ける感じです。ドンシャリ系が好みの方はZEXの方が好きかなと思いますが、低音~中音~高音までフラットな感じで解像度高めの音が好きなのでこちらの方が使いやすそうです(KZ ZEXの方はイコライザで調整して使えます)
 
Sennheiser BT T100というUSBから電源をとるタイプのBluetoothトランスミッターを使ってますが、安定して低遅延で使用できており、ほぼほぼ有線と同じ感じで動画鑑賞出来る感じです(Mixは難しいと思われます)
バ美声で利用した場合は(感覚的に)50ms遅延のLittle Alter Boyよりは遅れる感じです。
Amazonでよく販売されてるバッテリー内臓中華トランスミッターにありがちな無音時に音が完全にミュートされることはないです。
Sennheiser BT T100
IE 100 Proの方はコネクタの形状が上位機種のIE 400 Pro/IE 500 Proと同等なようですので、とりあえずお試しでバンドルセットを購入してみて気に入ったらそちらも手にしてみるといいように思いました。

Babyface Proの場合だとデジタル入出力はS/PDIFのみなので、デジタルでトランスミッターと接続する場合はADAT接続が不可になってしまいますが、UCXシリーズはS/PDIF以外にもデジタル入出力を備えているので、ADAT環境を構築しながらトランスミッターとデジタル接続が出来るので非常に助かりました。